カンテレの弾き方

カンテレの弾き方-楽器の構え方・姿勢


より良い音を出すために、楽器の設置や構え方、向き合う姿勢を確認しましょう。


小型カンテレ(Pienkantele)

5弦の小型カンテレは膝の上で弾くのが最も一般的ですが、机上でも演奏されます。10弦以上のものは本体をしっかりと支えるためにも、机上で弾いた方が安定感が増します。また、最近では楽器にショルダーベルトがついているものもあり、その場合は肩から下げて演奏します。

楽器の向きは、手前に短い弦(高い音の弦)が来るようにします。


5弦カンテレ_構え方・姿勢


大型カンテレ(Isokantele)

弦数の多い大型カンテレは、専用の机の上に置いて弾かれるのが一般的です。
座って弾く場合が多いですが、立って弾かれることもあります。どちらの場合でも、奏者のひじや手首が弦よりも極端に高い/低いと弾きにくくなります。無理なく演奏できるよう、机や椅子の高さを調整します。

楽器の向きは、手前に長い弦(低い音の弦)が来るように設置するのが現在では一般的ですが、地方や奏者によっては反対側から弾くスタイルが採られています。


大型カンテレ_構え方・姿勢


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カンテレの弾き方-指のポジション・運指番号


カンテレは弦を指ではじいて演奏する楽器です。代表的な指のポジションや運指番号を理解すると、カンテレの演奏がぐっとスムーズになります。指の番号は下図のとおり。基本的には他の楽器と同じです。


指番号



小型カンテレ(Pienkantele)

5弦カンテレの弦番号は下図のとおり。


5弦カンテレ_弦番号


基本的に動かしやすい指で自由に弾くのがカンテレの特徴ですが、5弦カンテレを軸とした一般的なポジション例を紹介します。
曲によって弾きやすいように自分なりの形を探ってみましょう。
※図をクリックすると拡大します


5弦カンテレ_ポジション


大型カンテレ(Isokantele)

大型カンテレの場合、固定の指を置くベースポジションは特に決まっていません。
小型カンテレは親指~小指すべての指を使って弾きますが、大型カンテレは両手の小指をのぞく各4本の指、計8本の指で演奏します。
ただし、後述のフィンガーミュート(指での消音)時には小指が使われる時もあります。


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カンテレの弾き方-楽器の弾き方


カンテレは、弦をはじけば音が鳴る楽器です。
また、音の高さの順に弦が並んでいるので分かりやすく、初心者でも始めやすい楽器と言えるでしょう。細かいことは気にせずに、まずは思うがまま音を鳴らしてみて下さい。カンテレの音の虜になること間違いなし、です。

よりカンテレらしく、より澄んだ音を出すために。
気をつけておきたいことをや基本的なルールを少しだけご紹介します。
ただし、あまり神経質にならないで。楽しく弾いて自分なりの音を見つけて下さい。


小型カンテレ(Pienkantele)

手首を柔らかくし、弦を少し上にはね上げて弾くことで、音量も響きも増し明るい印象になります。

もともと柔らかで澄んだ音のカンテレ。
静かに丁寧に弾くのも良いですが、楽器本来の音を活かすためにも、少し大胆にはね上げた方が良い音が鳴ります。
ただし、あまり力を入れすぎると音が割れてしまうので要注意。しっかりと耳を澄まして音を聴き、ベストな力加減を探ってみましょう。


大型カンテレ(Isokantele)

2つのスタイルをご紹介しますが、自分の弾きたい曲やジャンルに適した弾き方を適宜考えることが大切です。

どちらのスタイルで弾くにせよ、手首を柔らかくするのが良い音の秘訣。力まずに、楽器に身をゆだねるような気持ちで弦に触れましょう。
演奏時には弦の中央部を奏でるのが一般的ですが、楽曲の途中に敢えて弦の端の方を弾くことで、音の変化を楽しむこともあります。

フォークスタイル(民俗調) フォークスタイルが追求するのは、弦を最もよく「鳴らす」こと。
元来、5弦の小さなものからスタートしたカンテレ。弦数が増えても、本来の弾き方は変わりません。小型カンテレと同じようにはね上げて弾くことで躍動感のある音が得られます。
また、楽器ごとの特徴を活かす”粋な”心づかいも民俗調ならでは。
その楽器がもっともよく鳴り、もっともおしゃべりになる、そんな弾き方をご自分の楽器と共に探るのは永遠の楽しみとも言えるでしょう。
クラシックスタイル クラシックスタイルが求めるのは、何よりも音の「響き」。
芸術楽器としての役割を求められはじめた頃より、弦をはね上げるのではなく、軽く押し付けるように弾くことで音の響きを追求するようになりました。また残響豊かな分、前に弾いた音がいつまでも残り不協和音が発生することを防ぐため、1音弾いたら次の音を弾く際に、直前に弾いた音を指で止めながら曲を奏でます。(詳細は「カンテレの弾き方-独特な奏法・技術:消音技法」を参照)
そのため、はね上げて弾く時よりも指が弦に対して平行に近い向きとなるのが特徴です。
弾いては消す、という仕事を繰り返すことで求めるクリアな1音の響き。
徹底的な音の美しさを追求するには当然、演奏技術向上のための練習と鍛錬が必要となります。

♪カンテレの音を実際に聞いてみましょう



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カンテレの弾き方-独特な奏法・技術


消音技術

残響がいつまでも残るのはカンテレの特徴の1つであり、大きな魅力の1つですが、楽曲を弾いている時には、不協和音を防ぐため要所要所で消音が必要となります。また、楽曲の最後にも音を自然に止める必要があります。カンテレの演奏は「音を出す」ことと、「音を消す」ことが常にセットであると言えるでしょう。消音方法はその時の状況に適した技法を用いて行います。

ハンドミュート
[Käsisammutus]
:手、腕を用いた消音
[小型][大型]
残響の残っている音を手の一部や掌、腕の一部をあてて消音させます。
小型カンテレの消音はこのハンドミュートが一般的で、演奏の最後や曲の要所で行います。

大型カンテレの場合、ハンドミュートは主に曲の途中、一部の音を消す際に用いられます。
主に小指の側面から腕を使い、瞬間的に消音させたい弦を含む一帯に軽くあてます。楽曲を演奏している途中ですので、メロディや必要な音の妨げにならないよう、一部の音のみを消す技術が求められます。
フィンガーミュート
[Sormisammutus]
:指を用いた消音
[大型]
上述の「カンテレの弾き方-楽器の弾き方:大型カンテレ」クラシックスタイルの説明で記したように、1音弾いたら次の音を弾く際に、直前に弾いた音を指で止めて消音させます。
ボードミュート
[Lautasammutus]
:ミュート板を用いた消音
[大型]
大型カンテレの多くには、消音板(ミュート板)がついています。このボードを瞬間的に軽く押さえることで、演奏の最後や曲の要所で瞬間的にすべての音を消音させます。

ハーモニクス[Huiluääni]
[小型][大型]

弦上の1/2、1/4の位置を軽く触れた状態で弾弦することで、倍音を鳴らす奏法のこと。
通常、大型カンテレにはハーモニクスを鳴らす際に触れる位置にハーモニクスマークが入っています。
特に大型カンテレでは、弦を弾く位置と、ハーモニクスマークとの距離は離れているほど良い音が響くとも言われており、演奏に余裕がある場合は両手で行うことが多いですが、演奏上の都合で片手(親指と人差し指または中指)で行うこともあります。
片手で行う場合も指と指の距離を出来るだけ保つと澄んだハーモニクス音が鳴りますが、スピードが求められる場合などではギターでいう「ピッキングハーモニクス」のように、ハーモニクス位置のほぼ間近を弾くことで倍音を鳴らすことが可能です。

♪実際にハーモニクスを聴いてみましょう


マッタ・アーニ[Mattaääni]
[小型][大型]

弦の付け根を軽く押さえながら演奏し、あえてくぐもった音を出す奏法のこと。
チューニングペグとは反対側のピン(支柱)の付け根を押さえることが多いですが、曲に応じてやりやすい方を押さえます。
また、大型カンテレの楽曲で曲の音全てにマッタアーニのマークがついている場合は、消音板を下ろし常に減音させた状態で演奏することを指します。

♪実際にマッタ・アーニを聴いてみましょう


グリッサンド[Glissando]
[小型][大型]

ある音からある音に向かって、上あるいは下からすべらせるように演奏する奏法。(YAMAHA楽器解体全書-音楽用語辞典より)
gliss. と略記することもあります。

♪実際にグリッサンドを聴いてみましょう


アルペジオ[Arpeggio]
[小型][大型]

和音をばらして一音一音発音させる演奏法。(YAMAHA楽器解体全書-音楽用語辞典より)
和音を構成する音を一音ずつ低いものから(あるいは高いものから)一定のリズム・速度で演奏します。



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カンテレの弾き方-楽譜記号


カンテレの楽譜は五線譜を用いて表されるのが一般的。基本的には通常の音楽記号、用語が用いられますが、ときどき不思議なマークを見つけることがあります。これは一体何を指しているのでしょうか?
ここではそんなカンテレ独自の楽譜記号の代表例をご紹介します。

カンテレの楽譜記号み


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>>参考文献

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