楽器のお手入れ

楽器のお手入れ-弦のお手入れ


古くなった弦は、音が悪くなるだけでなく、音程も合わなくなってきます。ただでさえ、日本は湿気が多く、サビやすいのも難点。プロの奏者ともなれば半年~1年に一度、購入した楽器メーカーにメンテナンス依頼をし、弦を全て張り替えているようです。
とはいっても、弦のお手入れをきちんとしていれば十分にキレイな状態を保つことが出来ますので、趣味で楽しんでいる方々はそれほど神経質になる必要はありません。
ここでは自分で出来る範囲の弦のお手入れ方法を紹介いたします。


練習の前後に

弦を長持ちさせるには、こまめに弦を拭くことが大切。
手の脂や汗が弦に付いたまま放っておくと、当然弦は錆びてしまいます。日々の練習が終わったら時間を置かず、クロスなどで、すぐに拭く習慣を身につけましょう。


定期的に

普段は空拭き程度で十分ですが、サビがひどい場合には目の細かいやすりを用いて、弦を傷めないよう丁寧にサビを落とします。やすりがけをした後は、やはりクロスなどで表面を拭いておきます。


2週間~1ヶ月に一度程度、弦の状態をクリアにするために、ガーゼやペーパー布巾等に少量のオイルを染み込ませ、弦全体をさっとひとなでしましょう。こうすることで、弦のしなやかさを保つとともに、汚れを取り除くことが出来ます。最後に、乾いたクロスで余分なオイルをふき取りましょう。


お手入れ用品

・クロス:
繊維が荒いものだと、ペグや弦に引っかかったり、楽器のパーツの隙間に余計な繊維が残ってしまう可能性があります。楽器や、アクセサリー類専用のクロス(マイクロファイバー製)が良いでしょう。楽器店やホームセンター等で購入可能です。


・やすり:
紙、布でもどちらでもかまいませんが、目の細かいものを使用。ホームセンター等で購入可能です。


・オイル:
レモンオイルや管楽器用のオイルを使用するのが良いでしょう。


また、ギター弦を拭くための専用のクリーナーも発売されています。ウェットティッシュタイプで使いやすく、さっと弦を拭くだけですぐに脂分を拭き取ることができて便利のようです。


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カンテレ奏者・研究者であるアルヤ・カスティネン(Arja Kastinen)が、カンテレ弦のお手入れ、張り替え方法を、写真付き英語解説で紹介しています。ぜひ参考にしてみて下さい。


【弦のお手入れ(How To Clean The Strings)】

How To Clean The Strings On A Kantele from Arja Kastinen


【5~15弦カンテレの弦の張り替え(How To Change The String on a 5-15 String Kantele)】

How To Change The String on a 5-15 String Kantele from Arja Kastinen



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楽器のお手入れ-チューニングペグのお手入れ

楽器のお手入れ-糸巻きのお手入れ

チューニングペグ(糸巻き)は弦と本体とを結び、音程を調整(チューニング)を行う大事なパーツです。
埃やゴミが挟まったり、サビたりすると動きが悪くなってしまいます。さらに、固くなったペグを無理やり巻き動かそうとすると、不用意に弦を切らせてしまう可能性もありますので、定期的にお手入れしましょう。


埃やゴミを取り除く

クロスで拭き取るか、PCや精密機械のお掃除に使用されるエアースプレーを使って取り除きます。


オイルやグロスで動きをスムーズに

少量のレモンオイルや、管楽器用のオイル、グロスを塗り、ペグを何度か回して馴染ませます。余分な油分が本体に染み込まないよう、気をつけましょう。


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楽器のお手入れ-本体のお手入れ


見た目にも影響する表面のお掃除はもちろん、保管方法は楽器本体へ大きな影響を与えます。大切な楽器に長く良い音で鳴いてもらうためにも、適切な管理を心がけましょう。


表面のお手入れ

楽器の側面にあたる周囲の木枠は、表面をクロスでやさしく撫でて指紋や汚れを拭き取ります。決してゴシゴシこすらないように。弦下の表面も同様に、やさしく撫でて埃やゴミを取り除きます。管楽器用のクロスを用いるか、エアースプレーを使うと良いでしょう。クロスで拭く場合は、ハーモニクスマークが剥がれてしまわないよう、優しくなぞるように。


また、弦やペグのお手入れにオイルを使用する場合は、表面の木に余分なオイルが染み込まないよう、十分に気をつけましょう。オイルが浸透すると、変色したり、傷や汚れがつきやすくなってしまいます。


消音(ミュート)板下のバネ

バネが下がってきた場合は、本体をしっかりと固定した状態で、バネをラジオペンチで引っ張り上げます。ペンチの先をマスキングテープ等で巻いておけば、バネを傷つけることもなく、また滑って本体を落下させる心配もなくなります。


古いタイプのホームカンテレで、バネではなく金属板が付いている場合は、ラジオペンチを閉じた状態で、金属板の下からぐっと上に引き上げます。力を入れすぎると金属板が傷ついたり、折れてしまうのでゆっくり注意深く行いましょう。


湿気対策

カンテレは湿度と温度による影響を受けやすい楽器。湿気の多い日本では、楽器の取扱いも特に気をつけなければいけません。木製の楽器の保管湿度は大体40~55%がベストといわれています。高温多湿は避けましょう。


また、湿度の高い日本で楽器を出しっぱなしにしていると、枠の木が水分を吸収して膨張してしまうほか金属である弦も湿気の影響を受け、錆びやすくなります。練習が終わったら、楽器は都度ケースにしまいましょう。また、ケースの中には、洋服タンスなどに入れる湿気取りなどを一緒に入れておくと良いですね。


自然の風は、多くの水分を含んでいるので、極力楽器には当てない方がベター。かといって、締め切った場所で空気が悪くなる・・のは本末転倒。練習前に窓を開け、十分に換気をした後、窓を閉めて練習をする、が理想です。エアコンを使用する場合は、体調管理にお気をつけて。


長期間弾かない時は

普段あまり演奏をされない方、旅行等で長期間不在にする場合などは、楽器をしまう前に、弦を少し緩めておきましょう。張り詰めたままにしておくと、湿度・温度変化に伴い、楽器本体にヒビ線が入ってしまう可能性があります。あるいは、低めにチューニングを合せておく、というのも一つの手です。



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楽器のお手入れ-身体のお手入れ


爪のお手入れ

カンテレは弦を指ではじいて演奏する楽器です。爪が伸びていると意図せずに弦にあたってしまい、演奏の妨げになってしまいます。カンテレを演奏する前に、きちんと爪を切っておきましょう。手のひら側から見て爪が見えないくらいが理想ですが、あまり短いのはちょっと・・・という方は、少し見える程度までにしておきましょう。


爪を傷めず、状態を保つためには、爪切りは使わずにやすりの使用をおすすめします。やすりをかける時は、力を入れずに爪の先が尖らないよう丸く削るのがポイント。出来れば定期的に削って、一定の長さをキープするのが望ましいと言えるでしょう。
爪の状態によっては響く音にも差が出ることもあるほど。良い状態を保つためにも爪のお手入れを習慣化させたいですね。


指のお手入れとフィンガートレーニング

爪と同様、指は大切な楽器の一部。演奏前後は軽い指の運動をして筋肉をほどよく動かすことをおススメします。
指遊びにもなっている「指まわし体操」は誰もが一度はやったことがあると思いますが、指の筋肉を温めるとともに、力の入れ具合を調節する機能も高まり、演奏の幅が広がります。また、指先の運動は脳の活性化にもつながり、緊張を解きほぐす効果もあります。練習をしないときや、少しの空き時間にもぜひやってみて下さい。


【指まわし体操】指輪まし体操
1)両手5本のそれぞれの指の頭を合わせ、ドーム状の形をつくる。
2)それぞれ合わさった指を、触れ合わないようにクルクルとまわす。
 これを親指から順に小指まで、できる速さでまわしましょう。
 一回りしたら今度は小指から親指まで戻ってきたり、逆回転させたりさせます。


身体と心のお手入れ

楽器は大事。常に良い音が鳴るように、楽器のお手入れは欠かせません。だけど、ちょっと待って。楽器を弾くのはあなたです。
良い音を鳴らすためには、余分な力を抜いて自然体で演奏することが大事。そのためには、練習前に身体をほぐし、練習後に疲れた筋肉の緊張をとってあげましょう。
また、ずっと同じ姿勢でいると身体は硬くなり、疲れやすくなります。集中して練習したい、という気持ちも分かるけれど、1時間に1度、10分ほどは休憩をとって脳と身体を休めることも大事です。


楽器演奏は、日常生活とは異なる特異な身体の動かし方を強いられるため、どうしても骨盤骨格のゆがみや筋肉の疲労などを起こしやすいと言われています。最近では、楽器演奏をする人に特化したマッサージや骨盤修正プログラムなども多くなってきたようです。
楽器同様、定期的に身体のメンテナンスを行い、心身ともにベストな状態を保つこと。これも、楽器演奏をする人に必要な心構えです。


参考:ミュージシャンボディトレーナー(旧:artist-body アーティストボディ)


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